個人のお客様を対象としている方も、法人間の取引を行っている方も、
大なり小なり一度はクレーム対応をしたことがあると思います。
例えば、このような話があります。
美容室でお顔剃りのサービスを提供していたのですが、誤ってお客様の顔に1,2㎜ほどの傷をつけてしまいました。
お客様はその場では謝罪を受け入れていたのですが、知人に入れ知恵をされたのか、後日、店舗にやってきて病院で検査をしたいから費用を持ってほしいと言ってきました。
また、美容室で顔を剃る行為は違法だろうということも言って暗に脅してきました。
その美容室は、負い目も感じていたため、相手方の言われるがままに治療費等を支払っていました。
また、「お詫びの品」として10万円相当の商品を渡していましたが、相手方の要求はどんどんエスカレートして、最後は100万円を超える慰謝料を要求をしてきました。
では、このような相手方に対してどのように対応していればよかったのでしょうか?
クレーム対応の場合、そもそもこちらに落ち度はあるのかという分析から始まります。
ちなみにこちら側に落ち度がない場合でも、けんもほろろな対応をしてしまうようなお店にお客様は来てくれませんので、きちんとした対応を準備しておかなければなりません。
こちら側に落ち度があった場合は、相手方に賠償すべき損害はどの程度なのかということを分析しなければいけません。それは過去の似たケースでの裁判例等を基に算出します。例えば、上記の事例であれば、裁判例においては5,000円~2万円程度の損害となります。
そこから先は状況に応じた個別対応になります。
上得意のお客様で絶対に離れてほしくないお客様だったり、絶対にバレたくない事情がある場合は、上記の金額に捉われないで判断をしなければならない場合もあります。
もっとも上記ケースのように、明らかに脅迫じみたことを言ってくる場合は、一度要求に応じても、繰り返し要求をしてくる恐れもありますので、素直に相手方の要求に応じることは得策とは言えません。むしろ適正な損害額を提示した上で、毅然とした対応をする必要があります。
クレームの対応と一口に言っても解決策は様々ですが、大切なことは「初期段階でクレーム対応の見立てを立てること」に尽きます。
個人的な話ですが、以前、私が通っている散髪屋さんでもひげを剃ってもらう際に少しだけ切れてしまったことがありました。長い付き合いの散髪屋さんでしたし、大変申し訳なさそうに謝ってくれましたので、特に不快な思いをすることもありませんでした。むしろお詫びにチョコとコーヒーをごちそうになって、気持ちよく帰ることができました。